当事務所では相続の無料相談を実施しています。
その中で相続が発生し、遺言書が見つかったがどのように手続きをすれば良いかというご相談も数多くいただきます。
今回は相続が発生し、遺言書が見つかった事例で、遺言があったことで手続きがスムーズに進められた事例を紹介します。
お客様のご状況
Aさんと同じ市内に住む高齢の叔母は、独身で子供がおらず、一人暮らしをしていました。体調を崩しがちだった叔母を気遣い、姪のAさんは時折買い物や身の回りの手伝いをしていました。
生前叔母は、これまでとてもよくしてくれたAさんに財産を残したいと思い、すべての財産をAさんに渡す遺言書を作成し、Aさんにもそのことを伝えていました。
叔母の死後、Aさんは遺言書で遺言執行者に指定されていた司法書士に連絡を取りました。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを進める人です。
まず遺言執行者は、遺言執行者に就任したことを相続人全員に通知するため、叔母の相続人を調査しました。叔母は配偶者や子供がおらず、両親もすでに亡くなっていたため、兄弟が相続人となります。兄弟も亡くなっている場合はその子供が代わりに相続人となります。
叔母の父親は一度離婚しており、前妻との間に5人の子供、後妻との間に叔母も含め5人の子供、合計10人の子供がいました。叔母からみると全員兄弟であり、亡き叔母の相続人にあたります。
しかし、叔母が亡くなった時点ですでに兄弟全員が亡くなっていたため、その子供(叔母からみると甥姪)が代わりに相続人となります。調査の結果、相続人は叔母の甥姪15名となることが判明しました。
叔母の異母兄弟やその子供とAさんは全く関わりがなく、存在すら知りませんでした。遺言書が無かった場合、これらの相続人全員と連絡を取り、遺産分割協議をする必要がありますが、叔母は遺言書を残していたため、遺産分割をすることなく、すべての遺産をAさんが受け取ることができました。
子供がいない場合や、認知症の相続人がいる場合等、遺言を残しておいた方がよいケースは多々あります。しかし、配偶者や子供、父母など、一定の相続人には最低限保障された遺産を取得できる遺留分があり、注意して作成する必要があります。
遺言の内容によっては、遺産をもらわない相続人から遺留分を請求され、相続人の間で軋轢が生じることも考えられます。後々問題が発生しないよう、遺言を作成する際には専門家に相談することをお勧めします。
この記事を担当した司法書士
トラスティ藤沢司法事務所
代表
山脇和実
- 保有資格
司法書士、宅地建物取引士
- 専門分野
-
相続・遺言・生前対策・民事信託・不動産売買
- 経歴
-
司法書士事務所での10年の経験を経て独立し、トラスティ藤沢司法事務所の代表を務める。「相続は、亡くなった方の思いを推し量ろう」、「相続は、和をもって尊しとなすが大事」、「完全無欠な平等は不可能、遺産分けは互譲が必要」をモットーに、依頼者の内にある悩み要望を推し量り、顧客満足に繋がるよう努めている。また、勤務時代を含めて担当した相続・売買案件は3000件以上に上り、相談者からの信頼も厚い。
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