当プラザでは相続の無料相談を実施しています。

その中で今回は疎遠な親が亡くなったとの連絡をいただいたが、親の財産状況も分からず、どのように手続きを進めれば良いか分からないというご相談者様の解決事例を紹介します。

ご相談者様のご状況

長年にわたり音信不通であった親の相続は、予期せぬ形で訪れることが多く、残された子に大きな困惑と負担をもたらします。

ある日、市役所からAさんのもとに突然の連絡が入りました。

それは、Aさんの父親が亡くなったという知らせでした。

Aさんのご両親はAさんが幼い頃にすでに離婚しており、Aさん自身、父親に関する記憶はほとんどありませんでした。

この突然の訃報に、Aさんは今後の対応について途方に暮れ、まずは何から手を付ければ良いのか相談するために当プラザにご相談にお越しいただきました。

当プラザのサポート

当プラザの司法書士はまず、Aさんの父親の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を収集し、詳細な相続人調査を実施しました。

その結果、法定相続人がAさん一人だけであることを確認しました。

法定相続人が一人の場合、原則として被相続人(亡くなった人)のすべての財産はAさんが相続することになります。

しかし、Aさんには交流のなかった父親が生前どのような生活を送っていたのか、財産状況はどうであったのか、全く見当がつきませんでした。

もし財産の中に多額の借金(負債)が含まれていた場合、それを把握しないまま相続手続きを進めてしまうと、思わぬ負債まで引き継いでしまうリスクがあります。

そのため、相続手続きを進める上では、まず財産の内容を正確に把握することが極めて重要となります。

財産調査の方法としては、主に以下のようなものが挙げられます。

預金通帳の記帳と取引履歴の確認

もし故人の預金通帳が見つかれば、金融機関で記帳し、過去の入出金や残高を確認します。通帳が見つからなくても、金融機関に問い合わせて残高証明書や取引履歴の開示を求めることができます。

郵便物・書類の確認

自宅に残された郵便物や書類を調べ、クレジットカードの請求書、各種ローンの契約書、滞納金に関する督促状などが届いていないか確認します。これらは借金の有力な手がかりとなります。

信用情報機関への照会

被相続人の氏名で、指定信用情報機関(JICC, CICなど)に対し、債務の有無に関する情報開示請求を行うことで、金融機関からの借り入れ状況やクレジットカードの利用状況など、負債の全体像を把握することができます。

不動産の調査

不動産を所有している可能性のある市町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取り寄せます。名寄帳には、その市町村内に故人が所有する不動産の一覧が記載されており、不動産の所在地や種類(土地、建物など)を確認し、その価値を調べるための登記簿謄本取得や固定資産税評価額の確認へ繋げます。

これらの財産調査の結果、プラスの財産(預貯金、不動産など)がマイナスの財産(借金、未払い金など)を大きく上回っていれば、安心して相続手続きを進めることができます。

一方で、マイナスの財産が多額に上回る場合や、借金の全容把握が困難な場合は、「相続放棄」を検討する必要があります。

相続放棄とは、被相続人のすべての財産を承継しないという意思表示で、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

この相続放棄の申立てには、原則として「自己のために相続があったことを知った日から3か月以内」という厳格な期限が設けられています。

長年交流のない親の相続では、死亡の連絡が遅れることや、財産調査に時間がかかることから、この3か月の期限があっという間に過ぎてしまうリスクが高まります。

特に、慣れない財産調査を自分だけで進めることは非常に時間と手間がかかります。

期限を過ぎてしまうと、原則として相続放棄ができなくなり、多額の借金まで背負うことになりかねません。

このような時間的制約と複雑な調査が伴うケースでは、相続手続きに強い司法書士や弁護士などの専門家に依頼することが、スムーズかつ確実な対応を可能にする最善の策となります。

Aさんのケースにおいても、財産の内容次第では相続放棄も視野に入れ、司法書士は迅速かつ広範囲にわたる財産調査に着手しました。

その結果、幸いにもAさんの父親には懸念されたような多額の債務はなく、ある程度の預貯金が存在することが判明しました。

これにより、Aさんは安心して財産を承継するための相続手続きを進めることになりました。

相続人がAさん一人であったため、複数の相続人による遺産分割協議(誰がどの財産をどれだけ相続するかを話し合う手続き)も不要であり、比較的スムーズに、戸籍収集、財産目録作成、預金解約・名義変更といった一連の相続手続きを完了することができました。

まとめ

今回の事例が示すように、被相続人のこれまでの暮らしぶりや財産の状況が不明な相続においては、「債務を相続するリスクを回避する」という観点から、事前の財産調査が極めて重要な意味を持ちます。

戸籍収集、預金調査、負債調査、不動産調査など、専門知識と時間が必要なこれらの手続きについては、早期に専門家に相談し、期限を意識した迅速な対応を依頼することが、将来的なトラブルを未然に防ぎ、相続人の権利を守る鍵となります。 

当プラザでは相続の無料相談を実施していますので、少しでもお困りの方は是非お気軽に0466-53-8631よりご予約ください。

この記事を担当した司法書士

トラスティ藤沢司法事務所

代表

山脇和実

保有資格

司法書士、宅地建物取引士

専門分野

相続・遺言・生前対策・民事信託・不動産売買

経歴

司法書士事務所での10年の経験を経て独立し、トラスティ藤沢司法事務所の代表を務める。「相続は、亡くなった方の思いを推し量ろう」、「相続は、和をもって尊しとなすが大事」、「完全無欠な平等は不可能、遺産分けは互譲が必要」をモットーに、依頼者の内にある悩み要望を推し量り、顧客満足に繋がるよう努めている。また、勤務時代を含めて担当した相続・売買案件は3000件以上に上り、相談者からの信頼も厚い。


サポート料金

相続手続きの最新記事

相続放棄の最新記事

解決事例の最新記事