相続した土地が売れずに困っているという相談が増えています。売れない土地を相続することは、税金や維持・管理の義務を負うことであり大きな負担となります。
できれば早く手放したいものですが、収益価値がない土地を処分することは、不動産取引の経験がない方にとっては簡単ではありません。そこで本記事では、専門家の視点で相続した不要な土地の対処における注意点や、処分方法をご紹介します。
売れない土地は相続放棄で手放すのが正解?
不要な土地を相続することになった際に考えたいのが相続放棄です。相続放棄をすることで、土地を所有する責任から逃れることができます。また、相続財産に債務があったという場合も、手放すことができます。
しかし相続放棄にもデメリットがあります。それは相続放棄を選択すると全ての財産を相続放棄しなくてはいけないという点です。相続財産に現預金や有価証券といった資産がある場合は、相続放棄をするとそれらも相続できなくなってしまいます。
そのため、要らない土地を相続する可能性がある場合は、相続財産を調査の上、損をしない選択がどちらかを考えるようにしましょう。
こんな土地を相続したら要注意!売れない土地の特徴3選
相続において、財産に含まれる土地が売れるか売れないかを判断することは重要です。もし土地に資産性があり売却可能な場合は、売却することで簡単に処分することができます。しかし、土地に資産価値がない場合は、売却できなかったり、土地の押し付け合いが発生するなど、相続がスムーズに進まない可能性があります。
そこでここでは、売れない土地によくある特徴をお伝えします。
長年放置されている土地
賃貸などに出されることもなく、長年放置されている土地は、売れない土地である可能性が高いです。放置されているということは、立地が悪かったり、賃貸の需要がなく、資産価値がない土地である可能性が高いといえます。また、放置されることで、土地は荒れてどんどん資産価値が下がっていきます。
もし相続をした土地が、家族や親族さえ存在をしらず、放置されてきた土地だったという場合は、売却以外の処分方法を検討した方がいいかもしれません。
別荘など管理費用を払っているが使われていない土地
相続の際に、別荘などが含まれる場合があります。しかし、別荘や管理されている土地の中にあり、管理費だけを払っている建物は、そもそも資産価値が低く、売れない不動産である可能性が高いです。
建物の処分にも費用がかかるため、処分しようにもできず、結果管理費だけを支払っている、そんな状態になっている可能性も考えられるため、注意が必要です。
寄付を拒否された土地
要らない土地は、個人や法人、自治体等へ譲渡することもできます。しかし、活用できない土地は寄付でさえも断られてしまうことがあります。もし相続した土地が寄付を断られたことがある場合、不動産を活用して収益を挙げたり、または値段をつけて売却することが難しい可能性があります。
そのような土地を相続した場合は、売ろうとしても値段がつかないかもしれません。
売れない、活用できないから放置は危険?犯罪に巻き込まれる可能性も・・
売れない土地を相続した場合、処分に困って放置してしまっているという方はいないでしょうか。しかし、土地を放置しておくことは様々なリスクがあります。
・隣地に庭木が侵入し損害賠償を請求される
・固定資産税の支払い義務
・隣地との境界がわからなくなりトラブルにある
・不法投棄の標的にされる
・犯罪拠点に利用される
・空き巣に入られる
土地の維持管理が面倒だからと放置していると、荒れた土地の庭木が隣地に侵入したり、誰も見に来ないと思われて不法投棄や犯罪の標的にされる可能性もあります。また、収益価値がない土地であっても、固定資産税の支払い義務を負うことになります。
不要な土地なら、いっそ放置しておこうという気持ちになる方もいるかもしれませんが、土地を放置することは大きなリスクが伴う行為であることを知っておきましょう。
売れない土地にはこの方法がおすすめ!プロが教える対処法5選
売れない土地を所有することは、ほとんどの方にとって負担にしかならず、一刻も早く処分したいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし通常の不動産取引では全く買い手が見つからないということも考えられます。そこでここでは、売れない土地に使える処分方法をご紹介します。
近所の住民に譲り渡す
実は不要な不動産は、近所の住民に譲るという方法で処分することもできます。不動産取引をあまりしない人にはなじみがない方法かもしれませんが、土地がまとまることは土地の価値向上につながるため、意外と引き受けてくれる方は多いです。
もし近所の方の連絡先がわからない場合は、登記謄本を調べて連絡をとるといった方法もあります。
国へ返却する
相続した財産の中で、土地だけがいらないという場合に利用を検討したいのが、相続土地国庫帰属制度です。この制度を利用することで、不要な土地を国に返すことができます。
相続放棄では、全ての財産を放棄することになってしまうため、もし土地だけが不要な場合は、積極的に使っていきたい処分方法です。ただし、相続土地国庫帰属制度で引き取ってくれる土地の条件は厳しく、有効活用が可能な土地や管理が容易な土地でないと引き取ってもらえない可能性が高いです。また、利用には審査手数料と負担金が発生します。利用をする際は、事前に最寄りの法務局に相談してみましょう。
寄付する
処分にかえって費用がかかってしまうという土地は、自治体や法人、業界団体など、寄付を受け付けている団体に譲り渡すことも考えてみましょう。もし引き受けてくれたら、無償で土地を手放すことができます。
ただし、寄付はどの自治体や団体でも受け付けているというわけではありません。また、譲り受ける側は管理の手間等を負うことになるため、管理がしずらかったり、収益価値がない不動産は引き取ってもらえない可能性が高いことに注意しましょう。
不動産引き取り業者に依頼
相続土地国庫帰属制度や寄付などを利用できない土地の場合は、不動産引き取り業者を利用してみてもいいかもしれません。不動産引き取り業者は、引き取りを専門にしているため、豊富な知識とノウハウで土地の処分を助けてくれます。
また、通常の不動産取引では売却が難しい土地であっても、引き取り業者であれば土地を引き取ってくれる可能性があります。
注意点として、不動産引き取り業はまだ新しい業態のため、詐欺を働いたり、不当な金額を提示してくる業者もあります。依頼をする際は、相手をよく調べた上で依頼するようにしましょう。
マッチングサービス
土地のマッチングサービスは、土地を売りたい人と買いたい人を繋ぐプラットフォームです。不動産は全国どこのものであっても登録できるため、町の不動産屋では買い手が見つからなかったという土地であっても、全国に向けて発信し、売却できる可能性があります。
利用に手数料がかかる場合もありますが、売買に関心が高い人達が集まっているので、成約率が高いというメリットがあります。登録でこれまで届けられなかった人達にもアプローチできるので、まずは登録だけでもしてみることをおすすめします。
いらない土地を処分したい時におすすめのマッチングサービスはこちら
まとめ
本稿では、遺産相続に関わる不動産の処分方法をお伝えしました。不要な土地を相続した場合、一刻も早く手放した方がリスクを減らすことができます。本記事を参考に、ぜひ自分にあった対処法を探してみて下さい。相続が絡んだ不動産取引は、知識や経験がない素人にとっては大きな負担です。自分では対処できそうもないという時は、豊富な知識とノウハウをもった専門家に頼ってみてもいいでしょう。
当事務所では藤沢市・鎌倉市を中心に神奈川県全域から相続のご相談を多数いただいています。
相続手続きでお困りの方やお困り不動産の相続についてもご相談を承っていますので、少しでもお困りの方は是非お気軽にご相談下さい。
この記事を担当した司法書士
トラスティ藤沢司法事務所
代表
山脇和実
- 保有資格
司法書士、宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士事務所での10年の経験を経て独立し、トラスティ藤沢司法事務所の代表を務める。「相続は、亡くなった方の思いを推し量ろう」、「相続は、和をもって尊しとなすが大事」、「完全無欠な平等は不可能、遺産分けは互譲が必要」をモットーに、依頼者の内にある悩み要望を推し量り、顧客満足に繋がるよう努めている。また、勤務時代を含めて担当した相続・売買案件は3000件以上に上り、相談者からの信頼も厚い。