生命保険を活用する
納税(資金)対策
相続税は金銭で一括納付をすることが原則になっています。
不動産やその他の動産で納付すること(物納)は条件付きとなりますし、認められないケースもあります。
売却して金銭に換価することも本望ではないことが多いでしょう。
そういったときに、よく対策として使われるのが「終身保険」です。
保障が一生続くため、死亡時に必ず保険金が受け取れ、現金が手元に残るのです。
とは言え、相続税額は一般的に高額です。
それだけで支払えるような保障額の保険に加入しようとすると、保険料も高額になってしまいます。
その対策として、保険期間を長くした「定期保険」や「定期付終身保険」が利用されることが多いようです。
生命保険を活用するメリット
1)受け取る死亡保険金には非課税枠があります
契約者、被保険者が被相続人で、死亡保険金受取人が法定相続人の場合、受け取った保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。
そのうち法定相続人数×500万円が非課税になります。
例えば、夫が死亡して妻が2,000万円の保険金を受け取った場合、子供が2人いたとすると、法定相続人3人×500万円=1,500万円が非課税となり、残りの500万円が他の相続財産と合算され、課税対象となります。
2)加入と同時に納税対策ができます
保険に加入したのと同時に資金が準備できることになります。
銀行預金などの積立とは大きく異なる部分です。
3)保険金受取時まで課税は発生しません
生命保険の配当金は、受け取った保険金と一緒に相続財産として扱われ、契約途中で課税されることがありません。
一方で、銀行預金は利息に20%強の源泉徴収がされてしまいます。
4)現金で受け取れます
相続税は、原則として相続開始から10ヶ月以内に金銭で納付しなければなりません。
もし不動産などの固定資産だけを相続したような場合、売却して資金を調達することも少なくないようです。
保険金はもちろん現金として受け取れるので、固定資産の売却をせずに済むかもしれません。
もちろん、相続税の納付には、延納や物納という方法もありますが、利子もかかる上、手続が面倒です。
なお、固定資産に全く手をつけずに相続税納付を行いたいのであれば、受け取る死亡保険金にかかる相続税分も計算に入れて、保障額(保険金額)を決める必要があります。
現物分割に生命保険を利用する
遺産の大半が不動産だという場合、相続人が数人居れば、家を分割するわけにもいきません。
現実的にはよく発生するケースで、このときに生命保険を上手に使うことが出来ます。
この場合不動産は遺言で一人に遺贈し、他の人を生命保険の受取人に指定して、その死亡保険金を分配することで帳尻を合わせられるのです。
ただし、保険金額は遺留分の額以上にしておくことが大事です。
代償分割に生命保険を利用する
商売をしている場合、遺産分割すると商売ができなくなってしまうということがあります。
このような場合、「代償分割」という方法が使われます。
「代償分割」とは、相続人の一人が財産を受ける代わりに、他の相続人には相当の金銭や別の資産をその代償として支払うというものです。
この場合、代償分割の支払いのための資金を生命保険で準備することが出来ます。
財産を受ける人を死亡保険金受取人に指定しておけば、一度受け取った保険金を他の人に支払うことができます。
同族会社などの場合、株式の多くを社長が持っているケースが多いようです。
また、会社を子供に継がせたいと希望している経営者も多いようです。
こういった場合、社長が死亡して保有していた株式を会社の経営に関係のない、後継者以外の相続人に分割すると、その後それらの相続人から会社に対して自社株の買い取り請求を受け、経営を圧迫するといった事態にもなりかねません。
会社経営を安定的に承継するためには、後継者一人に自社株を相続させることが必要です。
そこで、生命保険を活用した遺産分割対策が有効になるのです。
この記事を担当した税理士
宮川めぐみ税理士事務所
代表
宮川めぐみ
- 保有資格
税理士
- 専門分野
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相続・贈与・生前対策・不動産
- 経歴
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2017年9月に「宮川めぐみ税理士事務所」を開設し代表を務める。税理士の仕事は人と人とのつながりで成り立っており、扉をノックして下さった方々のご縁を大切に、一人でも多くの人のHAPPY(笑顔)がみたいという考えのもと、「迅速な対応」「情熱を持って冷静な判断」「いつも笑顔 (安堵感)」をモットーとしている。また、お客様に寄り添った日本一わかりやすい説明のできる税理士を目指している。