自筆証書遺言の保管制度の創設
改正の内容
これまで、自筆で遺言を作成した場合、自宅で保管することがほとんどでした。このときに良く起こる問題点として、以下のようなものがあげられます。
・遺言作成後の紛失の危険性
・相続人等による遺言書の隠匿・変造・処分の危険性
・相続人等が自筆証書遺言の存在を把握できない
・「本当に本人が書いたのか?」などの争い
こうした課題を踏まえ、今回の相続法改正では、自筆証書遺言を法務局に保管し、必要に応じて内容の確認等をすることができるようになりました。具体的にできることは以下のとおりです。
1、自筆証書遺言の保管
法務局に遺言の保管を申請します。法務局では以下の手続き、作業を行います。
・本人確認
・原本の保管
・画像データ化
2、「遺言書保管事実証明書」の交付請求
「遺言書の保管の有無」のほか、遺言書がある場合には「遺言書が保管されている法務局の名称」、「保管番号」が記載された証明書の交付を請求することができます。
※どの法務局に対しても請求できます。
3、「遺言書情報証明書」の交付請求
「遺言書の画像」や「遺言書の保管開始年月日」、「遺言書作成年月日」、「遺言者の氏名・生年月日・住所・本籍」等が記載された証明書の交付を請求することができます。
※どの法務局に対しても請求できます。
4、遺言書閲覧請求
相続人は、保管されている遺言書を閲覧することができます。
※実際に遺言書を保管している法務局に対してのみ請求できます。
これらの証明書の交付や遺言の閲覧があったときには、法務局から、他の相続人に対して遺言を保管している旨が通知されます。
この記事を担当した司法書士
トラスティ藤沢司法事務所
代表
山脇和実
- 保有資格
司法書士、宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士事務所での10年の経験を経て独立し、トラスティ藤沢司法事務所の代表を務める。「相続は、亡くなった方の思いを推し量ろう」、「相続は、和をもって尊しとなすが大事」、「完全無欠な平等は不可能、遺産分けは互譲が必要」をモットーに、依頼者の内にある悩み要望を推し量り、顧客満足に繋がるよう努めている。また、勤務時代を含めて担当した相続・売買案件は3000件以上に上り、相談者からの信頼も厚い。