自筆証書遺言の方式緩和
改正の内容
今回の相続法の改正で、自筆証書遺言の方式が緩和されます。
自筆証書遺言は、読んで字のごとく、遺言者(遺言をする方)が、自らの手でその全文を書き、印を押す必要があります。全文を手書きしなければならないため、場合によっては、こまごまとした財産の内容も手書きしなければならなくなることもあります。
今回の相続法改正では、財産の内容を記載した「財産目録」については手書きで作成しなくてもよくなります。例えば、パソコンで作成することや、通帳や登記簿謄本のコピーを付けることで財産目録として認められます。ただし、財産目録にも署名捺印が必要となります。
改正によるメリット
預貯金や不動産の件数が多い場合は財産目録を手書きで作成するのはかなりの手間になりますし、高齢の方や病気をお持ちの方にとっては、これらを正確に手書きで作成することはかなり労力のかかる作業でした。自筆証書遺言の方式緩和によってこうした部分の手間が少なくなり、自筆証書遺言を作成する方が増えてくるのではないでしょうか。
また、自筆証書遺言でありがちな、財産の記載内容が不正確・不十分なことによるトラブルを防ぐことができる点も、この改正による効果として期待されています。
自筆証書遺言における注意点
今回の改正で、自筆証書遺言の作成がしやすくなったことで、ご自身の遺言作成をお考えになる方もいらっしゃるかと思います。
自筆証書遺言の注意点として、法的に正しい記載方法をしなければ、効果が認められないという点があります。これは、今回の法改正とは関係なく、気を付けるべきポイントです。
ご自身の自筆証書遺言が法的な効果の認められるものかどうか、専門家のアドバイスを受けられることをお勧めいたします。
当事務では、自筆証書遺言の作成サポートも承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を担当した司法書士
トラスティ藤沢司法事務所
代表
山脇和実
- 保有資格
司法書士、宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士事務所での10年の経験を経て独立し、トラスティ藤沢司法事務所の代表を務める。「相続は、亡くなった方の思いを推し量ろう」、「相続は、和をもって尊しとなすが大事」、「完全無欠な平等は不可能、遺産分けは互譲が必要」をモットーに、依頼者の内にある悩み要望を推し量り、顧客満足に繋がるよう努めている。また、勤務時代を含めて担当した相続・売買案件は3000件以上に上り、相談者からの信頼も厚い。